発想の転換で心を豊かに

《発想の転換G》

昔から「言うは易く、行うは難し」と言われております。かつては"不言実行"といって、つとめて自分の行った仕事を言葉に表すのを遠慮し、実際になした仕事で人々に理解してもらおうという自然な考え方や行動が多かったような気がします。

ところが現代では、些細なことでもそれをいちいち周囲の人に伝え、認めてもらおうとする。そして認めてもらえない時には不満をもらし相手をなじる・・・・・仕事の出来不出来よりも、自分が認められれば・・・という風潮が強すぎる気がします。
いくら民主主義の世の中だとはいえ、口先だけの自己主張にうつつを抜かし、自分勝手なことばかり言っていても、何の進歩もないでしょう。

韓非子が「明主はその言を聴きて必ずその用を責め、その行いを観てその功を求む」と述べているように、百の言葉より、一つの実行が大切であり、さらにその実行も裏づけがなければ、その言葉に重みはありません。

「これもできます。あれも出来ます。」と言って自己宣伝し、吹聴しても、出来上がった仕事がズボラであれば、次第に誰にも相手にされなくなるのは明白です。
こういう見せかけやはったりの虚勢は周囲の人々を不愉快にするだけではなく、結局自分自身を駄目にしてしまうことになるのです。

鎌倉時代の名僧である道元が中国へ留学し修行していたある日、昼食を終えて廊下を通ると、真夏の日照りの下で腰が弓のように曲がった老僧が椎茸を干していたという。道元が同情して「そんな仕事は若い者に任せてはいかがですか」と言うと、老僧は「他はこれ吾れにあらず」とぽつんと答えたという。他人のしたことは自分のすることにはならないというのである。
そこで道元が「何もこの暑い日盛りにしなくてもよいではありませんか」というや否や、老僧は「椎茸干しは、日照りの時に限るのだ。この時をはずして、いつ干せようか」と答えたという。
道元は返す言葉もなかったといいます。

「自分にとって必要だから」「今必要だから」・・・こんな気持ちで事に臨みましょう!
セオドール・ルーズベルトは「今、自分のいるところで、自分の持ち物で、自分にできることに最善を尽くせ」と言っています。
さあ!・・・まず自分のやれそうなところからコツコツ実行していきましょう!

『 実行力をつける 』