品性はその人の全人格を顕す
衣食足りて礼節を知る、という格言は、残念なことに今の日本においては通用しなくなりました。
食について見ると、まったく手をつけていないものやちょっとしか口をつけていないままに捨てられているものが多くなりました。
衣についても、十分すぎるほどに高級なものを、日常においてさえ身に着けるようになりましたが、それが似合わない人も多くなりました。衣服を選ぶ時にはただ流行や好み、体型に合わせるだけでなく、その人が持っている品性にも合わせることが大切かと思います。
人に備わった品性は、言葉やしぐさなどに現われ、その人の全人格さえも顕すものでありますから、言葉使いやしぐさに合わないものを身に着けると、似合わないのは当然です。また、品性は、その人のの心に潜む倫理観や道徳心が表に現われたものであり、非常に大切なものだと思います。
しかし、品性の根元である倫理観や道徳心は、高い学歴や地位・肩書きによって身につくものではありません。
むしろ倫理観に欠けた、品性の低い人が高い地位についたり、肩書きを得たりすると、違和感があり卑しく見えます。
一方、高い品性を備えている人が粗末でも手入れの行き届いた衣服を身に着けた時、とても光輝いて清々しい気持ちを与えてくれるでしょう。
高い倫理・道徳心をもとにした品性を養うためには、良い生活習慣を多く身に着けること、自分の分度をわきまえて生きることでありましょう。
表面上ででいくら調子の良いことばかり言っても、行動を伴わない言葉には説得する力はなく、実践の裏付けのない文書には解決の力は与えられていません。
道徳や倫理は言葉や文書で説くものではなく、説く人が自らの生き方によって伝えていくものでありましょう。
良い習慣を身につける