〜文章の力〜

1 仏教詩人 坂村真民

「一道を行くものは孤独だ。だが、前から呼んで下さる方があり、後ろから押してくださる方がある。」

●COSMOS
人間の成功は、単なる快楽を求める心からは決して生まれません。数多くのリスクを負い、強い意志を持ち確固とした実行力が必要です。
怠惰、快楽、欲望のままの生き方を否定し、積極的に禁欲的な職業労働を通してこそ、その一道に徹した考え方、生き方に共鳴した人たちが「前へ導き、後ろから押して」行くのでしょう。


2南州翁遺訓・・・西郷隆盛

「己を愛するは善からぬ事の第一なり。修行のできぬも、事のならぬも、過ちを改むることのできぬのも、功に伐(ほこ)り驕慢の生ずるも、皆自ら愛するがためなれば、決して己を愛せぬものなり。」

●COSMOS
「個人の権利だ!」とか「個人の尊重」とかをいうことを「自分だけ良ければ」などと解釈し、それがあたかも民主主義みたいに思っている人が多いような気がします。このような考えが現代の社会の混迷の一因になっている気がしてなりません。中国の古典の「書経」に「満は損を招き、謙は益を受く。」という言葉があります。古来より、満ち足りて驕り高ぶる者は大きな損失を被り、一方、常に謙虚に「相手に良かれ」と考えている者は、素晴しい幸運を勝ち取る。と言われており、まさに時代を超えた世の道理であると言えます。
私たちは、自分自身が今あることに感謝し、
「謙虚でありたい!」と常に願い、さらにひたむきに努力を重ねるよう努めていかなければいけないと思います。

3 安岡 正篤

「一小燈 、一隅を照らす。」

●COSMOS
これは一人ひとりが、たとえ小さくとも一隅を照らす生き方を貫くことによって全体が輝き始め、世の中が良くなっていくという考えです。日本の古来からの考え方、文化・・・伝統にはすばらしいものがたくさんあります。神戸大震災のとき、火事場泥棒的な行動があったでしょうか。これひとつみても一見目立ちませんが、日本の伝統的な価値は沢山息づいている証です。私たちはこうした日本の伝統の持つ力を自覚しなければいけません。良い方向でものを考えましょう。私たち自身が明るい未来を信じて
「一小燈」でありたいものです。

4 菜根譚(さいこんたん)・・・・・新井正明氏が生涯愛した言葉

「耳中、常に耳に逆らうの言を聞き、心中、常に心にもとるの事あれば、わずかにこれ徳に進み、行を修むるの砥石なり。もし、言々耳を悦ばし、事々心に快ければ、すなわち此の生をとってちん毒の中に埋在せん」

●COSMOS
耳には耳の痛いことばかり。胸には無念なことばかり。それがわが玉を磨く石となる。おだてられたり、いいことばかりではわれとわが身に毒を盛るようなものだ。という意味なそうです。
常にこうありたい!ものです。


□5 鍵山秀三郎

幸せには三つあります。〈やってもらう幸せ〉〈できる幸せ〉〈してあげる幸せ〉です。

●COSMOS

人間の発育過程と同じです。生まれてから物心つくまでは、自分では何もできません。心・体が成長するにつれ自分でできる範囲が広がります。自分自身でなんでもできる・・・とてもすばらしいことです。でも権利と義務もつきまといます。まさに自己責任です。そして究極は
誰かの為に何かをした時・・・・これが心を豊かにし、自分を幸せにするのでしょう。そして・・・いつかは・・・また、人にしてもらうことになるのです。

人生のなかで、人との出会いが自分のその後の生き方に決定的な影響を与えることが多々あるように、「影響を与えた文章」との出会いというのもあるような気がします。

現代は「活字社会」です。本だけではなく、あらゆる場面で「力のある文」が私たちを取り巻いております。